異論耕論ときどきイクスカーション

智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。そんな人の世だけれど、それでもなお、を貫いてみる。

【はじめに】

シリーズ:今だから話そう、大震災のあの時あの現場

 私は、内閣府に在職しているときに東日本大震災に直面し、大津波の被災地出身であることから特命を受け、2か月間現地に派遣されました。当時としては政府職員として最も長期の派遣であり、また三陸沿岸に常駐するほぼ唯一の現地対策本部要員でもありました。
 あれから約2年半。大震災の記憶が風化し始めているのではないかという懸念の一方で、復興のあり方もまた問い直されています。ならば、当時の記憶を呼び起こし、まさに現場で起きていたことを振り返ることで、現在の政策対応に、これからのまちづくりや防災に生かせるものがあるのではないだろうか。その思いから、当時の私の視覚に入っていたことを、経験した事実そのままに、ここに記録することにしました。
 元になるのは、官邸および被災者生活支援特別対策本部に現地から送り続けた「熊谷ペーパー」。あの時、あの地域、あの現場で起きていたことを、少しでも感じていただけましたら幸いです。

(当時は「全15回の連載を予定しています」としていましたが、最終的には全26回となりました。)

 

(初出:2013年11月11日 PHPオンライン衆知、一部加筆・修正し掲載)